はじめに筆者はチェルシーサポーターである。
2014/15シーズンから応援し始め、もう約9年経つ。
これまでに選手の入退団は数多くあった。
印象的なのはジョンテリーの退団、エデンアザールの退団。そして「9番の呪い」とも言われるジンクスで活躍できず退団していった選手たち。
だが個人的には昨季の退団が直近だということもありいまだに胸のどこかに蟠りとして残っている。
チェルシーの希望の退団
2022年にオーナーがアブラモビッチからベーリーへと代わり、6億ポンド(約1010億円)をかけて大型補強を行なった。
複数の選手を補強し、戦術も確立されず1シーズンに2度の監督交代。
なかなか勝てない試合が続きチームの雰囲気も悪かったという。
そのチームの中心にメイソンマウントはいた。
イングランド代表の同選手は2005年、6歳の時にチェルシーアカデミーに入団。
レンタルも経験し2019年にトップチームデビュー。
プレミアリーグの規約違反で補強禁止とされていたシーズンにトップチームデビューし活躍したマウントはチェルシーにとって希望の1つであったのだ。
それからスタメンに定着しCL優勝にも大きく貢献。サポーターから最も愛されていた選手であったと言っても過言ではない。
しかし、ネクストランパードとも評されたマウントは自身の契約内容への不満、新オーナーとも上手くいかずチームも低迷。
そしてチェルシーを去る決断をしたのだった。
移籍先はマンチェスターユナイテッド。
優勝争いをする可能性もある同じTOP6と言われる名門に移籍したことはチェルシーサポーターにとって屈辱的であり裏切りと捉えられることだ。
筆者も移籍を知った時の虚無感はいまだに、忘れられない。
復活へ向けた希望の入団
2022年、総額約1010億円をかけた大型補強の1人にエンソフェルナンデスも含まれている。
アルゼンチン代表としてW杯優勝に貢献し、ベンフィカでも目を見張る活躍をした同選手。
イギリス最高額となる約170億円でチェルシーへとやってきた。
サポーターは当然高い期待を持った。
サッカーファンの中には
「移籍金に見合っていない」
「EnzoよりEndoの方がいい」
といった声は少なくないが筆者は素晴らしい貢献をしていると感じている。
低迷したチェルシーの中で献身的なディフェンスをし卓越したパスを出し続けているエンソは欠けてはならないピースだと思う。
2人の関係
紹介したマウント、そしてエンソは22/23シーズンでチームメイトとしてプレーをした。
試合前後や練習では仲の良い様子が度々報じられ、兄弟のように振る舞っている写真もネットに出回っていた。
それから約2年後の2024年。
4/5に行われたマンチェスターユナイテッド戦でそれは起きた。
マウントとエンソが移籍後初めて同じピッチに立ち激しい揉み合いになったのだ。
試合後もエンソは激しい口調でマウントに語りかけ、チームメイトだった当時の面影はなく大きな確執すら感じられる一幕であった。
その様子はすぐネットを騒ぎ立てチェルシーサポーターはエンソを絶賛しマウントを蔑んだ。
チェルシーの希望が代わったことを象徴する出来事であった。
このように移籍をきっかけに生まれるドラマは珍しくない。
「禁断の移籍」というものも存在する通り、選手にとってもサポーターにとっても移籍はとても重要なものだ。
プレミアリーグの夏の移籍は6月から行われる。
今年はどんなドラマが生まれるのか。
フットボールは試合結果だけではないのだ。